第四章

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海留はベッドに足を投げ出し、窓から霧雨の降る真昼の公園の木々を、見るともなしに見ていた。 手の内では駿一にもらった銀色のスペアキーが弄ばれている。 結局あれからまた一週間が過ぎたが、海留はまだ部屋の外には出ていなかった。 駿一はほとんどこの部屋には居ない。 昼過ぎから出て行き深夜に戻ってきたり、書類を持ち帰って来てパソコンに向かっていたかと思うとすぐまた出て行ったりする。 弁当だけが床に置かれていたり、時間が合えば一緒に食べたりもする。 睡眠時間もまちまちで、例え一緒に寝たとしても、この部屋と同じように無駄に広いベッドはお互いの体が触れ合うこともない。
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