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村上晋也、十八歳。高校三年生。
日本のどこかに点在する海岸端高等学校福祉科に通う、ごく普通の学生だ。
人と違うところは何かと問われれば、目が有り得ないほど細いことと、唇がタラコと言うに相応しいくらい太いこと。それと、彼女が本気で欲しいと思っていることぐらいだ。
その晋也の隣を歩く、ハンバーガーみたいな顔をした、つぶらな瞳が特徴の男もまた、海岸端高等学校福祉科に通う高校三年生だ。名前は、つぶらやモンキー。その容姿とは裏腹に、何故か彼は女性にモテた。そして、今は学校一の美少女と付き合っている。
二人は、朝から熱い談義を交わしていた。いや、正確には二人ではなく、一人が一方的に騒いでいるだけだが。
「お前はモテて、俺はモテないっておかしいよなぁ。いや、決して俺が『格好良い』って言いたいワケじゃないよ。ただ、納得いかないんだ」
「いやいや。それお前、遠回しに言ってるじゃん。『俺の方が格好良いのにどうして女子は振り向いてくんないの?』って言ってるじゃん!
だから、お前は女子から引かれるんだよ」
「んだと、コラーッッ!!」
すぐさまモンキーの胸ぐらを掴んだ晋也は、怒りと悔しさのあまり目から涙を流していた。モンキーは、それを見ても、淡々と晋也の汚点を公言する。
「ほら、それだよそれ。事実を言われてそれが自分にとって都合の悪いことだとすぐにキレる。その性格がまず女子にはウザいんだ」
モンキーの冷静過ぎるツッコミに、晋也は拳をキツく握るも、反論できなかった。その代わりに、唇を尖らせて、モンキーに向かいぼそりと呟く。
「お前は恋愛博士かよ」
「あぁ、よく言われる」
速攻で返ってきた答えに、晋也は何も言うことはできなかった。
「そうそう」
モンキーが話を切り替えるべく、思い出したように次の話題を出してきた。晋也は、わざとらしいと心の中で思いながらも、とりあえず耳を傾ける。
「そういえば、今日全校集会あるらしいぜ」
その言葉に、晋也は身体が固まった。
海岸端高等学校。生徒会室。
日夜学校の風紀を守る為、活躍するエリート達がその部屋には集まっていた。
全校集会と言ったら、生徒会のメイン行事である。校長と一部の教諭に適当な話をさせたあと、あとは生徒会が主導権を握り、自分達で運営していく。それが、海岸端高等学校の行う、生徒会の全校集会のやり方だ。
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