第1話:隙(スキ)

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「ついでにシャワーも使いなよ」 「そうだね、そうさせてもらう」 はぁ~。さっきまで怒鳴り散らしたかと 思うとすぐこれだ…… やれやれと思いつつ上に行くと カウンターには3人分の朝食が 用意されていた。 「お姉さん大丈夫そうですか?」 「大丈夫、大丈夫。 あんなの心配するだけ時間の無駄。 今、すんげぇ喜びながら着替えてる」 「そうですか」 「それよりさ」 カウンターに肘をつけて前のめり聞く。 「あのスーツと靴でいくら?」 ねぇちゃんが目利きできるのは 料理だけではなく、 アクセサリーや服もまたしかり。 そんな人が喜び、ウキウキするなんて よっぽど流行っているらしい。 流行に疎い俺が知る筈もないんだが。 「えっと……ですね……、 お金は気にしないでください」 大地は目を泳がせた。 あからさまに俺には払えない 金額であることを態度で示している。 「いやいやいや、マスターとして そう言う訳には……ねぇ~……。 払う予定とか言っちゃってるし~」 などと言ってはいるが、内心ヒヤヒヤ。 「本当に気にしないでください。 初めから貰うつもりありませんから」 はぁ!?俺なら吹っ掛けるぞ!? 「じゃなにか、君はお金持ちなのか? あのブランドは美羽ねぇでも手が出ない くらい高い物らしいじゃないか」
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