第1話:隙(スキ)

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「美羽さん、僕上で待ってるんで、 着替えて来てください。 美味しいカフェオレ煎れますんで」 かるく俺に会釈をして部屋を出ていくと そっとトイレから顔を出した。 「着替えるって言っても私この服しか 帰らないとないんだけど……」 ため息をつきながら大地が部屋の ソファに置いていった袋を持ち上げた。 「何それ……?」 「ねぇちゃんの仕事着一式。 まさか昨日と同じ格好ではさすがに 不味いと思って大地に頼んだ」 「はぁ!?あんた従業員にそんな事まで させてんの?あり得ない!!」 「いつもじゃねぇよ!!しかも特別!! 金はちゃんと俺が払う予定!!! ねぇちゃんが目覚めて大地しか 居なかったらパニクるだろうって 気を利かせてくれたんだよ」 「そっか……ありがとう」 大人しくトイレから出てきて袋を物色。 その姿を後ろから覗き込もうとすると、 美羽ねぇちゃんはばっと振り返った。 「これ、超が付くブランド物じゃん!!」 「えっ?そうなの?」 「最近注目集めてんだここの服、 ワンピースとかむっちゃ可愛いけど 私でも手が出ないくてさ~」 そう言って等身鏡の前で自分に当てて 喜び始める。 「へぇ……そうなんだ」 「うわぁ~、まさかflowerの新作スーツが 着れる日が来るなんて!!」
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