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「暑い……ホント、梅雨明け早々、こんなに暑けりゃ、たまんないね」
独り言いうのは、すずの憧れるイケメンの先輩。学園一美形の佐伯ケンジロウ、高校三年生。
通学途中、タオルで汗をぬぐい取りながら、しおれていた。
人気ない通学コースに怪しい影が、ケンジロウの身体内部に進入していったのだ。
「ふふふ、貴様は、怪人アッツインダーに相応しい。さあ、アッツインダーよ、目覚めなさい!!」
その上空に浮かぶは、ヒート・マックスハザード幹部のデキヨーネが、ケンジロウを怪人化させて、酷暑地獄計画を実行させたのだった。
『アッツインダー!!』
「そうだそうだぁ。さあ、大暴れしてこの大地を灼熱に燃やしてしまえ~!!」
その頃、えあとすずは、遅刻常習犯という汚名を返上しようと駆け足で急いでいた。
「あたしは、ここまでだね。すーちゃんはあっちだから、もうお別れだけど、また帰りに待ち合わせようね!!」
「梅雨明けの暑い日にベタベタなトークは勘弁してぇ。んじゃ、また帰りでね」
そうやって二人がそれぞれの学校に向かう時だった。
アッツインダーが従えたミニ怪人、ヒッデーヨーが数十……もとい数百もの怪しい影が跳梁跋扈してきたのだ。
「えっちゃん!? 後ろ危ない!!」
「んん? えっ!? 何!? キャアア!!」
ミニ怪人・ヒッデーヨーの蛸足を思わす触手に巻き付かれた、えあ。
「なんなのよ、あの妖怪みたいのは!?」
「ゴーストやモンスターじゃないッベン! アッツインダーとヒッデーヨーだッベン」
突然現れたのは、ぬいぐるみを思わす小さな妙動物的な存在だった。
「妙ちくりんな動物がしゃ…しゃべった!?」
妙な小動物に向かったすずは、声が裏返った。
「今はそんな時じゃないッベン。友達を救うには、二人組の冷気戦士がいなければ無理ッベン。何とかしなければ、友達は死んじゃうッベン」
「ベンベン、ウルサい動物ねぇ!! 親友を救える方法が何たらの戦士とかって、どこにいるっていうの?」
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