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漆原 慶次郎。
おれは彼を「けーじろー」と呼ぶ。だって、伸ばした方が言いやすい。
自慢じゃないけど、おれはあまり会話が得意じゃない。
テンポの悪い会話にもけーじろーはニコニコ笑って付き合ってくれる。優しいんだ、おれにも誰にでも。
いつだって、楽しそうで。
いつだって、みんなの為に。
けーじろーは尽くすタイプというものなのかもしれない。誰かの為に、自分の事を後回し。
何も、深く考えてなんかなかった。そういう人だと思っていたから。
あの日、あの顔を見るまでは。
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