kiss 4 [ 恋と、友情と、]

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「来るもの拒まず。 去るもの追わず。 舞の恋愛はいつもそう。 来るまで待ってる。 王子様がガラスの靴を持って、 世界中を探し回ってくれるわけじゃないのよ」 わかってるよ、そんなこと。 でも、 世界の果てまで 追ってきてくれる男性に 追いかけられたいなんて..... 夢みたいな期待してたりする。 「きっと彼は、舞から告白されるとか、 そういったアクションを 起こされる事を待ってるのよ。 だって、草食男子だから」 と、モリリンが付け加えた。 そんなの待ってたら、 小栗が、おじいちゃんになっちゃうでしょ。 それになんだか、ちょっと違う感じ、 小栗の仕事ぶりからして、 攻める時はとことん攻めていくし、 相手の懐に飛び込むことに 躊躇したりしない大胆なところもある。 仕事と恋のスタイルは違うかもしれない。 けれど、 今まで人生勝ち組で生きてきた小栗が、 私みたいに恋愛で躊躇するなんて想像できない。 きっと小栗なりに理由があって、私とキスフレでいるのだ。 それは、やっぱり キスフレは、どこまでもキスフレってことじゃないのだろうか? うん。そう。きっとそう。 「舞も、モリリンもさ、 悠長に構えてると、 あっという間に30才過ぎるよ。 知ってる? 30過ぎた女性の結婚率、3%以下だよ。 100人中の3人しか結婚出来ないの」 「つまり、 女子のトップ3に入らないと、婚期は逃すってことね」 今後、投資ディーラーの 日本のトップ3に入ることに なるだろう未来の候補生、 レーナが会話に割り込んできた。 「レーナ、おっそい~~」 「ごめん~。 ちょっと仕事が終わらなくてね」 両手を合わせて舌を出す。 今日は明るいグレイのパンツスーツ姿だ。 小脇に抱えた黒のエルメスのバーキンに、 首にかけているのは、これまた、エルメスのスカーフ。 それを取り外し、バックの取っ手に巻きつけた。 いつ見ても凝っていて、 尚且つハイブランドの服を着こなしている。 そんなに、儲かるんだ。いいなー。 なんて、軽い嫉妬を感じつつ、 女子会の主役登場のおかげで、 キスフレ話は一度終止符を打たれたようだった。 ふう、助かった。 多分30歳を過ぎて、 たとえ、 女子の3%以内に入ったとしても レーナは結婚を選択しないだろう。 そして私は十中八九、 最下位争いの 熾烈な戦いを繰り広げているであろう。 そんな、近い未来を想像しつつ、 レーナの空っぽの隣を見やる。 .
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