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次の瞬間には、セトミは男の持つハンドガンよりも、その顔に近い場所に立っていた。そのあごに、昼間ヴィクティムの頭を吹き飛ばした銃――――『アンセム』を突きつけて。
「――――あ? あ、ああ……」
その事態が飲み込めなかったらしく、男は一瞬、困惑の表情を見せたが、すぐにそれを理解し、青ざめた。
「――――しまえ。今なら、なかったことにしてあげる」
先ほどまでとはまったく違う声色で、セトミが言う。例えるなら、それは少女の響きを持った、死神の声。
だが、男の目はちょうど目の前にある、セトミの前頭部に注がれていた。
「チェ、狩人の猫(チェイサーキャット)……!?」
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