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そして。
「……ご…っあ……」
呻き声のようなものが男の口から発せられたと思った次の瞬間。
男は今まで体重をささえていた手を地面から離し僕の体めがけて無造作にその手をふるった。
すると、どういう事だろう。
ドッ!!という人肉を押しつぶす音が短く鳴ったかと思えば、僕は後方10m程をノーバウンドで一気に吹き飛ばされたのだ。
自分の身に起きた情報が脳に伝達されるまでの速度が異常に遅く感じられた。
何が起きたのかもハッキリと理解できなかった。
ただ、言えることは僕は攻撃を受けたのだということだけだった。
それもどういうもので、どういう理由でなどは見当もつかないような攻撃を。
痛みが発生するのに時間はかからなかった。
「ごッ………アァァァァァァァァァァァァァァァ!?」
口から放たれる絶叫が全身を鋭く貫く痛みを代弁していた。
サラリーマン風の男が放った攻撃は僕のわき腹を直撃し、そこから水に濡れていくティッシュペーパーのように痛みが爆発的に広がっていく。
鉄パイプか何かで殴られた感触に近かった。
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