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それほどに、臆病になっていた。
――「信じる」、なんて言葉ほど薄っぺらくて確証のない綺麗事はない
そんなんじゃない
好きで、好きすぎて、失う事以前に、その恋の濃度が薄まる事すらも怖くて仕方ない、それほどの特別な、モノ。
ずっと、イチさんが。――私だけを、なんて。
有り得ないし、諦めてもいる。
だからこそ、現実は恐ろしい。
「なに食いたい?」
「……」
時折見える、イチさんの優しさが。
……わからないわけじゃない。
「イチさんは?」
「なんでも」
見せないでほしい
……優しくなんか、しないで欲しい
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