心が強くなる瞬間

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酔っ払った勢いでそういう関係になったきっかけは冴子だった。朝陽は額に手をあてて冴子のオープンさを思い出し、どう返事をしていいか非常に困ってしまう。景紀の友人である敦史を食べた、朝陽にすれば大ショックだとしても、敦史がどう思っているかは知らないし、景紀が話を聞いているとしたら自分にも話してくれている筈。でも何も話していないという事は景紀はまだ知らないという事で。 「な、何でそうなっちゃったの?」 『可愛かったのよ、チワワみたいで』 「チ、チワワですか。それは可愛いけど…」 『下半身はシェパード並みだったけどねえ』 そう比喩してケラケラと笑う冴子。朝陽は『付き合うの?』と聞き、冴子は『そんな話してないわよ、遅刻しそうでそれどこじゃなかったし』と笑いながら言う。 『一応さ、僕ちゃんのお友達だし伝えておいた方がいいかなーと』 「知りたくなかったよ…」 『大丈夫だって。失恋には一晩の相手も効果あったりするんだから』 「それは…アリかもだけど」 朝陽は頭を抱えてしまう。あの敦史が一晩限りという関係をもてるとは思いもしなかった。もちろん、それが悪い事とは言わない。お互い同意の上なら何の問題もないし、いい年をした大人同士のする事に文句を言うつもりはない。 「景紀はまだ知らないみたいだけど」 『んー、普通その場限りの相手の事なんかいちいち言わないでしょ』 「私も黙っておいた方がいい?」 『好きにしていいよ』 「難しい事言うねえ」
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