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『はいはあい。ギルド“ノスタルジア”です』
数回のコール音の後、どこか気の抜けたような話し方の女性が応答する。
少年はその喋りに一瞬だけ顔を顰めるが、直ぐに表情を戻して話しを切り出した。
「絢音さん、俺です。任務完了しました」
『俺俺詐欺なら間に合ってるわ。
出直しなさ「瑞稀です!」
電話の相手……絢音が受話器を置こうとしたのが目に見えて、瑞稀は慌てて名乗る事によりそれを制した。
「任務、完了しました」
そしてもう一度確かめるように言う。
小さな町の片隅にあるギルド“ノスタルジア”。
政府には属しておらず、危険な魔物の討伐依頼や、政府の対応しきれない“こぼれ依頼”を請け負う。
今回の依頼は“こぼれ依頼”だ。
瑞稀は辺りを見渡し、もう一度指をパチンと鳴らした。
今度は、身体のあちこちに付着していた返り血が蒸発するように消えた。
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