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違う日、先生に付いてみんなと学校を歩いた。 先生は歩きながら最初の時と同じように廊下の歩き方や、トイレや水道とかの使い方を僕たちに話していた。
けど、僕だけがみんなからだんだん遅れ始めてしまった。
そのことを誰か先生に言うと、先生は「その子は特別ですから」ってニコニコ笑って答えた。
他にも僕はみんなと違って鉛筆の持ち方やひらがなの書き方とかができなかった。 それに歌うことや読むこととか、家できてたことがなんでか学校だとできなかった。
できないことが見つかる度に決まって先生は「特別だからいいんです」ってみんなに言った。
それだけでみんなは何も言わなくなった。
でも、給食のときは少し違った。
給食では食べたことないものがたくさんでた。
みんなはそれを美味しいって楽しそうに食べてたけど、僕には美味しいのかどうかわからなかった。それに少し食べただけでお腹いっぱいだった。
「好き嫌いはいけません」「お箸の持ち方が違います」「残してはいけません」「食べるのが遅すぎます」「ぜんぶ食べなさい」
給食が始まった日から先生にたくさんのことを言われながら食べた。給食の後の休み時間が終わる時までみんなに見られながら1人で食べた。
頑張って必死に食べた。
それでも食べきれないと先生は給食の量を減らした。
「いつもいつも残すのに甘い物を食べるのは可笑しいでしょう? みんなの大好きなカレーを同じ分食べるのは可笑しいでしょう?時間通りに食べきれないのも可笑しいでしょう?
これはね、あなたの可笑しなところを直すために特別にしてあげているんですよ。いいですか?
特別、だからです」
先生の思いやり、なんだと思った。
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