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長い、長い夢を見ていた。
僕がいた世界はとても有り得ないほど『非現 実』に満ち溢れていて、毎日が大騒動。
だけど……。
それが刺激的で飽きなかったことも確か。
楽しかった。家族と過ごし、学園で学び、騒動に巻き込まれて。
誰よりも“普通”を求めていたのにも拘わらずに、だ。
ずっと、こんな平和な日常が続けばいい。
そう、これからも────。
「…………ぅ」
朧気な意識の中、唐突に覚醒した。
カーテンの隙間から覗く朝日が、開きかけた瞼の奥──瞳を刺激する。
うっ、と。掌を翳(かざ)しながら、ゆっくりと上体を起こして彼は起き上がっていた。
気だるさが残るものの、清々しい朝だと思え た。
寝汗で着ていたシャツが肌に張り付いてはいたが、この程度ならば問題ない。
「……シャワーでも浴びよう」
サッと軽く水浴びでもして汗を洗い流せば、よりスッキリと目が覚めるだろう。
ぐいーっと、腕を伸ばしながら柔軟してベッドから立ち上がった。
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