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駅前から離れてしばらくして気がついた
「あ、晩御飯」
ボーッとしすぎて買い物し忘れた。だからってもう駅前より自宅の方が近くなっている
急ぎ足で帰路につくサラリーマン、母親と手を繋いで歩く保育園児。
『陽菜子、一緒の高校においでよ!一緒に走ろう?』
卒業前にセンパイが私にそう言ってくれたから、私は苦手な勉強も部活も必死に頑張った。
同じ高校に行けて嬉しいはずなのに、なんだろう。このぽっかり空いたように風が通る胸のところ。
足が止まってしまい、家にも駅前にも進めない
私、なんでここにいるんだろう。
急にとてつもなく寂しくて虚しくて涙が出そうになった。
「あかん」
涙を我慢するために上を向いた。
薄暗くなってきた空はもうすぐ闇に染まる。
星がない
どこにも見えない
「帰りたい…」
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