814人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
慌しく始まった打ち合わせは滞りなく終わり、木戸先生も今回はあっさり帰っていった。
「岡本さんを食事に誘いたいところなんだけど、これからまだ1件残っててね。また次回」
「はい、お疲れ様でした」
また連れまわされるのでは? とドキドキしていたけど、それも杞憂に終わった。
同じように課長も心配していたらしく、木戸先生の姿がエレベーターに消えたと同時に大きなため息をこぼした。
「課長もお疲れ様でした」
「あぁ、君もな。どうも木戸先生は熱心すぎて疲れるな」
「確かに仕事一筋って言うか、いい意味で建築バカって言うか……。仕事仲間としては、頼りになりますけどね」
「手厳しいな」
2人でクスッと笑って、オフィスに戻る。
あんなに早くから始まった打ち合わせも、終わってみればもう5時を過ぎていて。
どうりで疲れているわけだ。
自分のデスクに戻った時にはもう無表情の課長。
切り替えが早い。
.
最初のコメントを投稿しよう!