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イ長調
『幕末に堕ちた天使』
例えばここに鉄の壁で四方を囲まれた部屋があったとしよう
鉄の部屋には窓もなければ
脱出出来そうな階段もない
ただそこには大勢の人間がびっしりと横たわり、深く眠りこけているだけだ
そのままにしておけば、やがて誰もが窒息死してしまう
とはいえ眠ったまま死んでいくのだから、別に苦しみを感じるわけではない
ところがここに1人、目が醒めた者がいたと仮定する
その者は事態の緊急さを認識し、部屋の絶望的な状況について知識を習得する
果たしてこの人物はどのように振る舞うべきなのか……
―――魯迅『吶喊』より
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