君伝3…3章 お帰りのキス!?

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それにしても……。 そう思いながらあたりを見回す。だけど当然のように知ってる人は誰も居ない。 「誰かと迷子になっちゃった?」 「違います。けど……」 彼女のあの台詞はなんだったんだろう? 今日帰ってくるのも知ってたし――。 「あのっ」 「うん」 「……他に誰も居ないんですか?」 「誰のことを言ってるの?」 「……」 どういうことなんだろう? さっぱり意味が分からない。分からないのに、 「きゃっ」 「そういえば少し前からおかしかったね。何か隠し事?」 いきなり抱きしめられて問い詰められる。 「かっ、隠してなんかっ」 「言わないならキスするよ?」 「さっきしたじゃないですかっ!」 「それじゃ、それ以上のことしちゃおうかな?」 「そんなっ!?」 そんなこと、出来るわけない。 そう思ったのに。 荷物を持たない身軽な彼の手は腰から背骨を伝って美穂の肌を滑って――。 「泉さんっ!」 「はい?」 「だから! 泉さんが先輩のお迎えに行こうかって」 「誰? それ」 「……はい?」 「だから、誰?」 「……」
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