魔科学時代

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 光が世界を駆け巡っていた。  閃光が川の如く流れては明滅し、遥か後方に去って行くスペクトルな世界。  光で出来たトンネルを進むように、黒いワイシャツに白い制服姿の少年が浮かんでいた。  その少し上に金属的な奇妙な翼を広げる、スタイリッシュな流線形のボディースーツの少女がいる。  この世界の有り様が、認識している人間次第でガラリと変わると言うことを、少年は知識として既に知っていた。 「アポカリプス型カメレオンバイパスを配置完了。これで二十七層構造体の覗き穴は出来たね」   「やっとで此処までだ。ダイナミックアプローチに移行するぞ」 「了解」  小悪魔のように笑いながら、青いツインテールを靡かせて少女は両腕を掲げた。  その手の先に光のサークルが八枚浮かび上がる。  両腕をクロスさせると八枚の輪は拡がり、八つのゲート【転移門】が生まれた。  それを確認してから少年は掌を打ち鳴らす。  すると、手を開いた瞬間に同じ姿の少年が七人現れた。  能面のような顔が、うっすらと陽炎のように揺らめいている。  七人は同時に動き出すとゲートに突入して消え去った。
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