茶番劇は苦い蜜の味

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「彼、雪乃のこと好きなんだろう?」  俺が尋ねると雪乃は不愉快そうな顔をしてこちらを見る。 「そうみたいだけど、私体育会系の人苦手だし、それに川上くんはやり方がウジウジしてるから嫌い」 「ウジウジって?」 そう尋ねると、雪乃はふーっ。とため息をついて一息に言う。 「小学生の女の子みたいなんだもん。私の視界に無理に入ろうとしたり、私の友達に私の事を色々聞いたり。聞きたいことがあるなら直接聞けばいいでしょう?」  俺はクスクスと笑った。雪乃がムッとする。 「どうして、笑ったの?」 「いやあ。なんだかんだ言っても高校生なんだなあって思って」  何だか俺の知らない雪乃の日常がかいま見れて嬉しかった。川上くんにはお気の毒だけど。  雪乃はさらにムッとした表情をした。 「子ども扱いしないでって言ってるのに!」 「子ども扱いなんてしてないだろ? ただちょっといつもと違う姿が見れて嬉しかっただけ」  そんなことを話していると、とうとう乗り物の順番が回ってきた。
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