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しかしそれでは、連中は苦しむことも悔しがることもないのだ。
楽に死なせてやるつもりなどない。
恐怖や苦しみを与え、後悔させてやりたいのだ。
そう、あたし自身や周りの人間はこれ以上傷つかず、その上で自らの手で究極の裁きを与えたいのだ。
そして何より、政やんとあたしに近づいた理由は何なのか、何故政やんを殺さなければならなかったのか、を連中の口から一部始終聞かなければならないと思っていた。
その為には連中をさらって監禁する他ないだろう。
それには車と、最低でも1人は助けが必要になる。
ヒロちゃん、純也、チャンパーの顔が頭に浮かんだ。
しかし本来あたしが政やんのことを殺した犯人を知っているはずがないのだ。
知っている理由を説明するには援交のことを隠してはおけない。
政やんはヒロちゃんに知られることを恐れ、文字通り墓場まで持っていったのだし、あたし自身だって父親に知られたくない気持ちは強い。
結局、政やんとあたしの秘密を話さずに協力を得ることは難しい面々だということだ。
いや、例え打ち明けたとしても、復讐で犯罪に手を染めようとするあたしに手を貸すはずなどないか。
あの人達は、あたしには手出しをさせずに自分の手を汚すに違いない。
それならやはり――。
頭に血が登ったまま考えを巡らせていると、ぼやけた視界の中に、ビルのエントランスから出てくる女の姿が入った。
視点が定まった瞬間、今度は全身の血が下がっていった。
そこに居るはずのない人間の姿があったのだ。
双眼鏡で見るまでもなく一目で分かる見慣れた姿。
亜沙美――。
ショートパンツにキャミソールだけの格好で、ウェーブのかかった茶髪をかき上げながら、あたしの見下ろす歩道を左から右に歩いて行く。
何故亜沙美がそこから出てくるのだ。
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