キス~15~

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入院中、お見舞いに来てくれた両親にキチンと挨拶をしてくれた杉浦さんは、もう日にちもない事もあって一緒になりたいという筋を2人に伝えた… 久志としか会った事がなかった両親は、突然の杉浦さんの存在に驚いてはいたけれど彼の誠意ある言葉に快く結婚の話しも東京へ行きたいという意思も受け入れてくれた。 そのまま足のヒビの事もあって2週間 会社を休んでいた私は、杉浦さんの好意に甘えて彼の家でずっと過ごしてた… 相変わらず仕事の忙しい杉浦さんだったけど、会社を休んでいて尚且つ足のヒビのせいで動き回れない事もあってか、遅くまで起きていられる私は帰りの遅い彼を待っていられるから前よりは一緒に要られるようになった。 「ただいま」 『あ、杉浦さん おかえりなさい』 夜中、少し疲れた表情を浮かべた杉浦さんが玄関から顔を出す… そっちへ向かおうとする私を制止しながら歩いて来た彼は微笑む私に軽くキスを落とし頭を撫でた… 少し新婚先取りなこのやり取りがなんだかこそばゆくてやっぱり嬉しい。 「ご飯作ったのか? 無理しなくていいって言ってるのに」 『はい、分かってはいるんですけど…足も大分良くなって来てるし、来週から仕事に出るんだから少し慣らしておいた方がいいと思って』 「そうか、でも無理はしないように」 心配そうな顔を浮かべ念を押すようにそう言われて私は頷いた… 来週一週間が最後の出社になる、杉浦さんも本社へと戻るし私も同じ日程で退社する事になっている。 どうせ元から仕事らしい仕事をしていなかったおかげか、会社側からもすぐに退職願いは受理された… 後はその日まで一週間、いつものように杉浦さんと堀川さんの手伝いをするだけ…
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