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海を眺めると、積乱雲が水平線から大空へ向かってせり出ている。
蝉のやかましい鳴き声を耳に、私は汗を拭った。
全く、こんな真夏に学校へ行くなんて嫌になる。
しかも、自転車に乗らなければいけないなんて。
あと十分か、思わず溜息が出る。
そんな私の前に、突然、赤髪の外国人少女が現れた。
「うわッ!?」
思わず自転車ごと倒れる私を、別の誰かが支える。
「あ、すみません……」
そう言って振り返ると、眠そうな顔をした外国人の男性と大柄の男性が立っていた。
「え、あ、ソーリー……」
私のぎこちない英語にクスリと笑った男性は、
「日本語、大丈夫だよ。
すまないね、うちのフロワが驚かしたようで。
怪我はないかい?」
フロワ、赤髪の少女のことか。
そう判断した私は慌てて手を振る。
「だ、大丈夫です!
お気遣いありがとうございます!」
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