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――空には満天の星空が瞬き、人々は空を翔る。此処は星魔法学院―。
学校と言うにはあまりに広い廊下は、登校中の色とりどりのローブを纏った子供たちで賑わっていた。
そんな中、私は帽子を目深に被り気怠い足取りで廊下を突き進む。
『私達は宇宙の一つである。』が学校の教え故に星空の下で学んでいる。
そしてこのローブの色で成績ごとにランク付けされていて、黒は『一等星』・青は『二等星』・緑は『三等星』と決まっている。
因みに私は何と呼ばれているかと言うと…
「おい、劣等星!!」
いきなり背後から大きな声が辺りに響き、周囲の人間がこちらを見てはクスクス笑う声が聞こえてくる。
―そう、私は『劣等星』と呼ばれている。劣等星とは、三等星の中でも最も劣る者に付けられるランクだ。
私はひとしきり笑われた後、重いため息を吐きながら真っ赤なローブを翻し、声のした方を見やる。
そこには数人の男子が嫌な笑い方をしながら立っていた。
「おい、今日も目立ってんじゃんか!」
「すっげぇーどぎつい色だなぁ?目が痛くなるぜぇ?」
「本当、本当!俺なら恥ずかしくて着てらんねーよ!」
どっと笑い出す男子達。
冷やかしは相手にするだけ無駄だ。
無視して歩き出そうとした私の肩を男子の一人が掴んで止める。
「おい、待てよ。逃げんのか?落ちこぼれの劣等星!!」
「まぁ無理もないよねぇ?俺、聞いちゃったもん。アンタ魔法使えないんだってぇ?」
「はぁ!?マジで?あり得ねー!何しに学校来てんだよ!」
男子達はまたも笑い出す。
それでも尚、無言を通す私の腕を男子が苛立たしげに引き寄せ、言い放つ。
「おい、こっち向けって!お前男だったら言い返すくらいしてみろよ、じゃなきゃ面白くねーだろ!」
――瞬間、私の中で何かが切れる音がして、帽子が宙に舞う。
…我ながら、この短気はどうにかならないものか。
私は男子の腕を捻り上げ、床に這いつくばらせていた。
「…魔法は使えないが、力ならお前らには劣らない。」
私は言い終わると大袈裟に痛がる男子を解放し、帽子を拾い上げ、さらに大事なことを告げてやる。
「それと、私は女だ。大馬鹿者が。」
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