第1話

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頭が痛いーー 咄嗟に浮かんだ状況で言える言葉はそれだけだった。それだけでは表せないほどに酷い状況だというのに。 目の前に広がる赤い炎。頭を強打しているせいで視界がぼんやりしていたが徐々にはっきりしてきた。 頭から血がながれているのが分かる。 痛いーー とにかく痛いーー なのに涙が出ない。 そうか。涙が出ないほど今の自分は苦しいんだ。本当に苦しくなったときは涙さえ出ないんだね… 「だ……れ……?」 やっとの思いで声が出た。というか声を振り絞って無理矢理出させたの方が正しいかもしれない。 仰向けで地面に倒れている俺の前に浮いている人がいるのだからーー
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