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ある晴れた日に
小さな雲が仲良くなった空君とお話ししていた時に
『早く上に上がって来い!』とクジラの形をしたくじら雲さんが小さな雲に叫びました。
ビックリしたけど、
優しいくじら雲さんの真剣な声にただ事じゃないと思い、
『またね』と空君に言い、
小さな雲が上に上がって行く途中、
ビューっと強い風が吹きました。
小さな雲も上の方にいたくじら雲さん達もみんな、そのすごい勢いに逆らう事が出来ず、
ちょっと下に流れて来た大きな雨雲に吸い寄せられ、あっと言う間にみんな呑み込まれてしまいました。
空君にはどうする事も出来ませんでした。
お友達になってもこんな風に
いつもサヨナラばかりです。
小さな雲は雨になり
幸いな事に花壇の土の上に降りました。
嵐の次の日は雲一つない青空でした。
花壇に植えられた球根が土から水分と栄養をもらい、
ニョキッと地面から芽を出し
グングン茎と葉っぱが伸びて
やがて、花が咲きました。
ピンクや赤や黄色やオレンジのたくさんのチューリップが
空に真っ直ぐ顔を向けて咲きました。
まるで空君に
『こんにちわ、また会えたね』って小さな雲が挨拶しているように…。
…おしまい…
☆あとがき☆
今はどうしようもなくても、
目に見えない静かな想いが導き繋ぐ運命が未来にあるといいな…
…今はサヨナラ空君。
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