8+8=16

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僕が彼と初めて会ったのは、8年前の、小学生の時だった。 親の仕事の都合で、嫌々引っ越してきた転校先。 自分から話しかけるのが苦手だし かと言って、囲まれるのも苦手。 そんな僕は、友達を作るのが下手だった。 だから、転校は嫌だった。 予想通り、囲まれて質問攻め。 それに上手く答える事が出来ない僕。 次第に離れていく、クラスメイト。 なのに1人だけ、いつまでも構ってくる奴が居た。 それが、彼だった。 「八谷(はちや)、一緒に帰らね?」 「八重(やえ)と帰るから帰らね!」 そんなやり取りを横目に見ながら、 後者の彼が来るのを、ただ机で待つ。 ひたすらに僕を構いたがる、 彼の名前は八谷 友章(ともあき) あれからずっと、僕を構い続けて8年になる。 ただし僕に対する呼び名は、ずっと名字のままだ。 理由は僕の名前にある。 八重 朔良(さくら) それが僕の名前だ。 さくら、と呼ばれると どうしても周りの目が気になってしょうがない。 だから彼にも、名字でよんでもらってる。
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