ツクリモノ、二つ

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  「は……ぁぁぁぅっ!!」 月明かりが蒼白く照らす部屋の中、二つの影が妖しく交わる。 引き寄せ合う身体は艶かしく重なりあい、むさぼり合うように絡みつく二つの舌が淫眉な水音を響かせ、熱い吐息と、ベッドの軋む音しか聞こえないこの部屋を妖艶に彩った。 まぐわっているのは、真っ赤な髪を持つ男と、人形のような少女。 冥暗とした部屋に、恐ろしいほどよく映える真っ赤な髪を持つ男が抱いている少女は、少々普通では無い容貌をしていた。 自身の持つ長い黒髪を巻き付かせながら踊る、あまりに細いその体は、男が動く度に柳のようにしなり、高い声を放つ。 泣き叫ぶのにも似た声と表情に飾られた少女の顔は、童顔ではあるものの、とても美しく、その深遠なまでに透き通った黒い瞳が悦を称える様は、もはや芸術の域に達しているかのように思えた。 だが、シルエット全体を見れば、その少女はひどく不恰好だった。 成長したという感じではなく、幼い少女の身体を無理矢理に引き延ばしたような感覚。 所々に、幼い少女特有のふっくらとした丸みを残してはいるが、全体的に痩せ細った華奢な身体は、触れたら壊れてしまいそうな危うさを醸し出す。 しかし、そんなバランスの悪い身体も、その幼い顔と相まって、人工物然とした妖しい美しさを放っていた。  
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