十八之五章 それぞれの日常

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「俺は忙しい。お前を相手にしている暇はない」 「まあまあまあ、待ちなせえよ。ザクヤさんよぉ」 肩に腕を回してくる酔いどれ。 「チャンスの一つぐらいやったらどうですかい?見所はあるんでしょ?」 「だったらどうしろと?才能はあるようだが、連れて行くには足手まといだ」 「………………」 「まさか………。なにを渡す?」 「ひ・み・つ」 大の大人がやったウィンクのオマケ付きに苛立ちを隠す気はない。舌を打つ。だが、肩越しにディロという少年を見やる。 「………いいだろう。俺達はこれから、この街一のギャングを潰す。ついでに有り金全て頂きにきた。お前はそれを手伝え」 ザクヤは口を動かしながら、ディロをどう動かすか計算していた。彼は剣術もさることながら、頭が回る。そこに切羽詰まった状況でも冷静さを備えている。 勘で動く全帝にとってザクヤとの組み合わせは非常に都合がよかった。全帝にとっても有能な駒が手にはいるのは喜ばしい。
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