終章

6/8
452人が本棚に入れています
本棚に追加
/286ページ
   それで、どれだけの事が分かるのか。  それでも、聞く価値はありそうである。 『おぉ、そうじゃ。もうひとつ、分かった事があったんだった』 「もうひとつ?」 『不死城の城下町で、ある妖の姿を見たんじゃ』 「そんな、勿体つけた言い方をしなくてもいいから、どんな妖を見たのか教えてよ」 『はっきり見た訳じゃないが、あれは鎌鼬だったように思う。それも、二体』 「えっ……」  その情報は、二人を驚愕させるに十分の内容だった。  二体の鎌鼬。  それは、旋風の家族の鎌鼬であるのは、恐らく間違いないだろう。その二体を捕らえられた為に、旋風は大妖の言いなりになって、妖気を受け入れ洋輔と敵対した。  それは、ずっと気にかけていた事である。  二体の鎌鼬は無事な状態で、不死城の城下町で目撃された。 「それ、本当に鎌鼬だよね」 『あぁ、恐らく。ただ、見掛けただけだから自信が無くてな、だから話すのを控えておったんじゃ』 「でも、鎌鼬で間違いないんだろうな」 『まさか、それを信じるつもりなのか?』
/286ページ

最初のコメントを投稿しよう!