一日限定! セイムがまたもや教鞭を握ります!

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……ってな感じで臨時教師を頼まれた訳だ。 正直、向こうで教師をしていたからなんの苦にもなりはしない。ちょっとカリキュラムが変わるだけなんだから。 「先生質問です! 神帝王は10年前に存在した伝説の帝と聞かされていたのですが!」 Sクラスの一人である、眼鏡イインチョっぽいやつが訊いてきた。 「あー、あれあれ。ちょっと遠いところに居て、10年ほど留守にしてただけだよ」 というか、俺が帰ってきたって公表してなかったんだな。神帝王が帰ってきたとか公表すれば、少しは国の士気とかが上がると思うのに…………上がったところでなにも起きないのだが。 「それにしては若いですね!」 「ちょっと人より老いないだけだよ。エリーも人より老いない体質だしな」 「まぁ、私は魔王だったから仕方がない」 静まる教室内。 エリーは『しまった』と言いたげな顔で冷や汗を流し、セイアはまだ俺の出現に驚いていた。 そして、数秒の静まりの後、Sクラスの皆は目覚める。 『ええええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっ!!!!!?????』 Sクラスの叫び声が学園中にこだましたそうな…………。 「お前ら……落ち着いたか?」 『…………はい』 頭に大きなタンコブを作ったSクラスの皆が返事をする。 あまりにもうるさかったのでちょっと頭を殴っただけ。教師からの愛の鞭と受け取ってもらえれば嬉しい。 「はぁ…………聞いての通り、エリーは魔族でありその長である魔王"だった"。しかし、今はもう魔族とは縁を切っており、関わることはもうない。だから、エリーを特別視せずに一個人として付き合ってやってほしい」 俺はSクラスの心の声に溜め息をつきながら説明した。 心の声は酷いもんだった。皆下衆みたいな考えをした奴ばかり。少し奴隷世界を彷彿とさせる心の声だったんだ。 『気持ち悪い……』やら『後で痛め付けてやる』やらうんたらかんたら。笑顔の裏にはこんな心が広がっていると考えれば吐き気しかしない。
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