44人が本棚に入れています
本棚に追加
/580ページ
その日の深夜。
月明かりもぼんやりとして薄暗い街中。
日中の怪物による被害はさほど大きく無く、街の復旧迅速に行われているようだ。
しかし今は夜分。
慌てずとも翌日には復旧しきれるであろうと、作業は中断している。
そんな静まり返った街の上空に、黒い雲が渦巻いていた。
夜だからとか、月明かりが薄いからとか、そういった黒さではない。
正真正銘、雲そのものが黒いのだ。
だが、街の人は誰も気付かない。
誰も夜空など見ていないのだ。
寝静まっているのが大半で、起きている僅かな人も外なんか見ない。
そうして人知れず渦巻く雲は、また人知れず宙に散っていった。
それはまさに、超常現象だった。
最初のコメントを投稿しよう!