Ａzul Ｒapsodia

prologue

昔、昔在るところにリラという水に恵まれた美しい国がありました。

リラは小さな国ではありましたが、国王の穏やかな性格から他国からの進撃を受けることなく、平穏に暮らしておりました。

国王には七人の子供たちがいました。
みな正妻から産まれた由緒正しき子供たちです。
ですが男の子が産まれたのはたったいちどだけ。しかも上には姉が五人もいました。

そんな女ばかりの兄弟で育ったからか、男の子は逞しく、優しく、そして（いじられていたため）少し卑屈な男の子へと成長しました。加えて、そんな性格にプラスして異端な容姿をしておりました。

リラの王家の者はみな、プラチナブロンドの髪をもっていました。
ですが男の子は何の因果か真っ黒な髪をもって産まれてきたのです。
それに見目麗しい姉や妹と違い、男の子は平凡な顔立ちをしていました。

身長は180ｾﾝﾁを超す長身。
文武両道で、とくに剣術は天下一品。
争いを嫌う性格。

普通ならモテる条件を兼ね備えているのにも関わらず、他国から彼は忌み嫌われておりました。