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あるとき、そんな異端な存在であった王子に結婚のお話が上がりました。
リラの水源を欲する国は後知れず、また王子にも例外ではなかったのです。
しかもこの時代は女の方が力が強く、婿入りの話も少なくはありませんでした。
王は喜び、王妃も喜びました。
ただ王子だけはまたか、とうんざりしていました。
相手は鉱石や石油などで有名な軍事大国ーアルント。
そんな大国がこんな小国に縁談などと、リラでは騒然となりました。姉姫達は、とうにそれぞれ大国へとお嫁にでていました。後に残されたのはたった一人の妹と、王子のみ。
しかも縁談の紙に書いてあったのは、王子を所望するという言葉。
正直なところ、リラは危機にありました。食糧難でした。しかしながら王子がアルントに婿入りしてくれれば、アルントは食糧を喜んで渡すと言ってくれていました王子はその話を聞くやいなや、颯爽とアルントに旅立ちました。
行きたくはないが、これで国民が救えるなら問題はない。
と、王子は思ったのでした。
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