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「食べませんね。肉食ですから。パンくらいは食べますけどね」
洋梨を切りながらローが答える。
「わざわざ、エルフの食べ物を調べてくれたの?」
びっくりしてそう言うと、ローの視線が恥ずかしそうに泳いで、耳が後ろを向く。
「果物屋の主人にエルフはどんなものを求めて行くかを聞いたんです。
雑貨屋の主人は蜂蜜が好きだと言って。蜂蜜は栄養があるからそれで煮たらいいんじゃないかって……」
「とても美味しいよ」
正直にそう言うと、ローが嬉しそうに微笑んだ。その銀色の瞳の輝きにうっとりしてしまう。
「では、もっと食べてください」
洋ナシがぶら下がる。汁が垂れそうだ。わたしは舌を出してそれを舐めてから口に含む。その様子をローはじっと見ている。
さっきキスしたばっかりなのに、またしたくなるってなんだろう?エルフって発情期とかないよね。ドキドキしっぱなしなんだけど。
もぐもぐと洋梨を噛んで飲み込むと、ローの方へ身体を乗り出しかけてはっとする。ああ、何しようとしてるんだろう、わたしったら。無理矢理身体を起こして、えへんと咳をすると言った。
「今日は退院してもいいみたいなんだけど」
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