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「なっ」
なに、いってんの?
そう返そうとしたら、
「欲しいです!」
と、恵理佳が嬉しそうに答えてしまった。
「残念!俺、写真映り悪いからさ」
キリッとした、けして大きくはない瞳だけど、
笑うと目じりが人懐っこくなって、
あんまり、一目ボレとかしない私も思わずドキッ! と見とれてしまい
「シャ……シャープペンの芯と焼きそばパンが欲しいんです。」
目的を果たせずに教室に戻るところだった。
「HBしかないけど、……あと、焼きそばパンは、もう売り切れ」
「えー? そうなんですか?」
関西で、B級グルメで有名になった店の焼きそばを使っているという噂の焼きそばパン、
食べたかった____
「甘い菓子パンしか残ってないよ、買う?」
太田さんは、黄色いケースに残った菓子パンを、ショーケースの上に上げて見せてくれた。
「じゃ、メロンパンください。」
妥協してそれを買う。
「またねー」
「………………」
普通、『ありがとうございました』じゃないの?
気さくに手を振る太田さんは、
『遊んでそう』
私の中ではイマイチな印象だった。
「やっぱ、カッコよかったねー!購買部のおにいさん!」
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