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ここは、女子高ではない。
なかなかイケテる男子も多い共学制の公立高校。
それでも、その男子達を押し退けて、
女子が群がる【太田】さんとは、
一体どんな男性なのか、とても興味があった。
「既に並んでる………」
「休み時間内に買えるかな」
古い別校舎の一階の突き当たりは、
女子の色んな匂いで充満して、まるで
女の子専用の雑貨屋さんみたい。
「太田さん!クリームパンと、消ゴムください。」
「太田さん、焼きそばパンと、蒸しケーキちょうだい!」
ただの、売店のおにいさんなのに、みんな名前を連呼している。
確かに、
学生とは違う落ち着いた二十代の雰囲気と、
白シャツに、紺のガーデガンが、
端正な、キリッとした顔に【王子】的な空気を醸し出して、
女子が騒ぐのが分かる、かなりのイケメンだ。
「焼きそばパンと、シャー芯ください。」
やっと、順番が回ってきて、始業ベルとともに声が出せた。
「写真 ?」
「え」
「俺の写真がほしーの?」
【絶品】は、自意識過剰ヤローだった。
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