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「わかりました。
じゃあ、貴方も後で消去しておいてください」
「……は……い」
ん?
胸がジクジクする。
『仕事上だけ』『携帯番号、消した方が』『消去』
吉川さんの言葉の断片が小さな槍みたいになって、私に地味な痛みを与える。
ちょっと待って。
私、何か間違えた?
間違えなかった?
再度吉川さんを見ると、見送り準備万端オーラを出されている気がして、私は慌ててバッグを持ち、ちょっとよろけながら、玄関へ向かう。
「危ないですよ」
吉川さんに一瞬腕を支えられたが、それはすぐに離される。
「……」
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