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夜
街からほどなく離れた森の中
しとしとと木々を濡らし、雨がその森を濡らしている
ーーーバラバラバラバラ……
その上空を数機のヘリが周囲に滞空していた
本来ならば声をあげるのは野生の動物のみ
後は雨粒が木々に打ち付けられる音しかしないだろう
この静寂と言う言葉が相応しい世界に無粋にも荒々しい声が木霊する
『こちら、チームブラボー1!
対象の人物を発見!!』
「こちらαリーダー、
でかした、全チームをそこに急行させる!」
そのヘリの中
指揮をとっている人間が居た
「全チーム、ブラボー1の座標を転送する
そこに急遽集結、順次戦闘行動に移り、目標を確保せよ!」
彼の言葉には緊張が見てとれた
目指すその人物が余程重要なのか
はたまた、この緊張が示すものは……
『こちらγリーダー!
了解だ!』
『ブラボーリーダー、さっさと済ませて酒でも飲むぞ!』
「各員心してかかれ、敵は……」
彼の緊張
それが示すものは……
「ドラグナーだ!!」
ーーードラグナー
人の姿でありながら、その身に龍の血を宿す一族の総称
過去に世界を滅びから救い、人類から崇められる存在になるが……
時が進むにつれて伝承は風化していき、今はその力を我が物にしようと企む輩や実験の糧とする事を目論む輩が大々的な『ドラグナー狩り』を執り行っている
「こちらチームオメガ
ブラボー、ドラグナー野郎はどこにいる!?」
送られた座標に続々と集まる人間達
口調や服装から察するに軍に属する軍人と言うのが見てとれる
「間違いない、あいつだ……!」
指揮官に連絡を入れた兵士が暗視ゴーグルを調整し、森の暗闇の中を只真っ直ぐに歩いている人影を捉えた
「九時の方向、距離300!」
「ーーー!」
ブラボー1の通信を聞いていた軍人は一斉にその方角に目を向ける!
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