結界都市

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「たこ焼きを食べていた時の話だな?」 「あぁ……  あんたなら簡単に倒せただろ?  それをわざわざ……」 答えを知りたかった 気になっていた 何故?どうして? 一言返してから無言でその返事を待つ俺を見て 「はぁ……」 と女は溜め息をついた まるで「仕方ない」と言わんばかりの態度だ 「お前は私がドラグナーだと言うことを知ったのだろう?」 どきっと心臓が少し跳ねるが、事実だ 目の前であれだけの技を使われるのも原因だとは思うが、実際知識がなければわからないだろう 「どうしてそう思う?」 だが俺はそれに答えずに濁す セコい答え方だ 「反応を見てれば自ずと判る  何年間お前のような視線を受け続けたと思っているのか……」 心なし、少し笑顔になってることが余計に寂しそうな空気を感じさせた ーーーズキッ まただ…… この痛み…… 「ドラグナーの力は絶大だ  この力を使い戦闘をすればひけをとることは早々無いだろう  だがな……」 女は言葉を区切り、続けた 「絶大な力だからこそ、私は簡単には振るわない  あんな場所で好き勝手私が力を使っていたなら何人の人間が巻き込まれていた事か……  それに恐怖を振り撒く趣味もない  だから私はそれを拒んだのだ」 「プライドは無いのかよ……」 俺は気付けば言葉を挟んでいた 俺が想像していた答えではなかったからだ 噂に聞く『ドラグナー』のイメージは人間を見下し、傲慢で利己的 プライドの塊のような存在なのだ 噂……噂か…… 「プライドならある」 堂々とそう答える女 だが俺にはそうは感じれなかった あれだけ絡まれて、良いようにされて…… 気配が変わった瞬間は感じれたがそれでも実害は出ていない 「プライドがあるからこそ、私は手を出さない」 プライドがあるからこそ…… 手を出さないって言うのか? 「力には責任が付きまとう  それが大きな力ならば殊更に大きく重くなる  その責任を放棄してしまえばそれは無法だ  私が自分の感情に任せて力を行使すればこのフィラルノースの形が変わっていたかも知れない」 「んな大袈裟な……」
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