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ベッドで必死に苦痛に耐えていた姿を思い出し、胸が痛んだ。
精一杯強がっていたことを分かっていたのに、どうして解放してやらなかったのか……。
どうしても止められなかった自分の欲望に嫌悪を感じながら、そっとその頭に手を伸ばした。
「悪かったな……睦月」
手に触れる柔らかな髪に、愛しさが胸に詰まる。
そして、ゆっくりと立ち上がって衣服を身に纏い、部屋を出ようとした時、
「――佐和」
と漏らした。
驚いて振り返るも、彼は寝息を立てたままだった。
寝言か。
……佐和。
女の名か?
胸に焦げるような感情が広がることを感じながら、部屋を後にした。
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