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「嫌、マジで。クッソどうでもいい。っつーか、観たくもないから。生徒会室で何回ヤったのか知らねぇけど、でも、まあ……程々にな?」
「……」
言えば言うほど、観たように思われそうなセリフ回しになってしまう。ダメだな。マジで何か……
言葉を探し、俺は何とか口にする。
「ごめん。俺、あの後のお前らの会話聞いちゃった。無理させて申し訳ないとかそう言うの。お前が魔法少女のDVD渡したりさ」
「……え」
驚いたように佐伯が俺を見てきた。呆然としている。
「それで”知った”ってわけだから。撮ったもん観て知ったわけじゃないよ」
「……ど、どっちにしろ、知ってんじゃねーか」
佐伯は頭を抱えながらふらふらとふらつき、廊下の壁に凭れ掛かった。ただでさえ普段から顔色がいいとは言えないその顔が青褪めている。
「もう嫌だ、死にたい」
コイツが言うとあまり冗談に聞こえないから怖い。
「あー、大丈夫だって。俺、誰にも言わねぇし」
「お前に知られた」
「べ、別にいいじゃん。あ、じゃあ、俺の観る? そしたらおあいこになるし、」
「ならねーよっ、観たくもねーしっ」
「だよねー」
「……あーあ、俺達、何やってんだろ」
とふいに呟いた佐伯の目は空ろだった。これはマジでヤバい。
「えーっと、佐伯、マジで気にすんな」
「……俺、今でも思うんだよな。永塚と付き合うべきじゃなかったって」
また出た。コイツのこう言う所は本当にめんどくさい。そんなのもうどうだっていいじゃんと俺は思ってしまうのだが。
「でも、もう、別れようとか思えなくなったんだ」
「……え?」
思わず、声に出てしまった。だが、それぐらい俺にとっては衝撃的だった。どう言う心変わりなのだろう。
「どんな事があっても、アイツに嫌われたって、俺はアイツの傍に居続けたい。それも叶わないなら死んでしまおうかなって思うようになった」
何でそうやって直ぐ死に繋げようとするんだ。
「死んだら、多少なりとも、アイツの記憶に残るだろ。もしかしたら、アイツの事を傷付けてしまうことになるかもしれない。でも、寧ろそうなってくれた方がいいなとすら思えるんだ。ずっと、アイツは俺を忘れられないだろうから」
「……それはちょっと行き過ぎてね?」
恐る恐る言ってみたら、佐伯は苦笑いする。
「だよな。俺もそう思う。ホント、どうかしてる」
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