シャーク・Kという男

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数珠丸の能力は、装備した者のオーラを攻撃力に転換するというもの。 無数のスキルを操り、莫大なオーラ量を誇るシャークとは相性の良い武器だ。 その数珠丸がキャップを外したということは――。 俺は自分の仮説を証明するために、手元のPDAを確認した。 そこには運営幹部モードでの検索結果、つまり、現在の数珠丸の状態が表示されている。 ――やはり、レア度は★6越えの★7だ。 説明文を確認すると≪天下五剣シリーズ――レア度★7数珠丸。装備した者のオーラを増幅させ戦闘能力に転換する能力。その増幅量は二倍から熟練度によって変化する≫と書いてあった。 一部の文言が変化している。転換されるのは攻撃力ではなく、戦闘能力。 運営幹部検索にしては随分と曖昧な表現だ。レア度★7以上の説明は、初期世界ごときでは必要ないということか。 とにかく、今のシャークのオーラ量は数珠丸を持つことによって最低でも2倍。 だからオーラ量だけがレイドを上回っていたんだ。 『初心者ゾーンの奴等がいきがってんじゃねーぞっ!!』 【ブラック・レイン】発動。 【炎球】発動。 【散弾】発動。 【ダークマター】発動。 レイドは漆黒のオーラを上空へと飛ばした。 地面から噴き上がるマグマが、空に浮かぶ無数の剣に火を灯す。 『死ねぇぇぇぇ!!』 レイドの叫びに反応し、燃え盛る数百もの剣が多方向からシャークを襲った。 【マグネット・フォース】発動。 フィールドに磁場のような曲線模様が出現。シャークが左手を上から下へ操作すると向かってきた炎の剣が全て地面の裂け目、溢れるマグマの中に吸い込まれていった。 こいつ、こんなスキルまで覚えていたのか。 メタルマスターの俺だって磁力をここまで使いこなせねーぞ。
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