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ピクリと揺れた和人の背中が、やがて繰り返し揺れ出して、ついに声を上げた。
「麻里子っ…麻里子っ…」
何度も私の名を呼びながら、嗚咽を繰り返す和人の姿に私も堪えきれずに声を上げて泣いた。
「和人っ…ごめんなさいっ…疑ったりしてごめんなさい…」
泣きながら必死に言ったけれど、その声はきっと和人には届かない。
もっと早くに気付けば良かった。
子供も産めない私を、選んでくれた和人の思いを決して忘れてはいけなかったのに。
込み上げる思いが抑え切れなくなって、私は大声で思いを吐き出した。
「和人っ…ずっと愛してる!」
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