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俺の秘密、彼女の秘密。
壱
「あっきぃ?」
耳馴れた声に呼ばれ、突っ伏していた顔を上げる。
場所は教室。時間は・・・・・・・熟睡していたのでよく判らないが多分昼前くらいだと思う。
「あっきぃ、お昼食べ行こーよ?」
ハズレ。どうやら既に午前中の講義をスルーして、昼休みに突入していた模様。
俺は寝ぼけ眼を擦りながら、大人しく誘いにのった。
「あっきぃ!こっちこっち!!」
食堂で一番安くて旨いチキンカレーを購入した俺は、混み合ったテーブルの中、やっとのことで連れの連中の所まで辿り着いた。
「お前、またカレー?」
「拓真くんは、カレーが本当に好きなんだねぇ」
「いや、もう好きってレベルじゃないだろ?こりゃ中毒だな。中毒」
「でも、あきくんからカレーをとったら何も残らないじゃないか」
「あっきぃ、散々な言われようだね」
周りに座るいつも連るんでいる五人の友人は、好き勝手に俺、拓真 暁(タクマ アカツキ)とカレーを吊し上げる。
「カレーは神なんだよ」
しかし、そんな事で俺とカレーの絆は切れない。
俺は名言を残し、いざカレーと相対した。
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