君伝3…4.2章 キス争奪戦

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美穂より大きな手がシャープペンシルでさらさらと綺麗なアルファベットを綴っていく。 プリントの端まで書いて、 「――っ」 美穂の手に少しだけ触れた。 それだけなのに、跳ねる彼女の髪。 顔を見れば緊張してるのが分かるほど、強張って真っ赤で……。 だから彼はクスリと笑う。 「大丈夫、君が嫌がることはしないよ」 そして、いつものセリフ。 分かってる。 いつだって彼はそうだ。 でも、だったら――。 「……嫌がってなかったら?」 「美穂?」 「嫌、なんて思ってなかったら?」
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