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「マジかよ」
サキさんの現状を伝えた時、まず返ってきた反応がマイロード☆戮のその一言だった。
古びたそば処のような外観を持つ銃火器の店『どんぱち』の下手にある用水路のほとりに、僕らは集まっていた。
つくねさん、戮、JKのぞみ。
うにゃにゃちゃん、そして、ポチさん。
予想はしてたけど、イベント終了直後に伐天丸さんとサイファちゃんはギルドを脱退していた。
つまりサキさんを除けば、今ここにいる六人が『ろっけぽっけ』の全メンバーということになる。
さっき終わったばかりの闘技場イベ最終戦をすっぽかしたことでひとしきりつくねさんから叱られたあと(ちなみにバトルは格下ギルド相手に大敗を喫したらしい)、僕は例の、サキさんの話をみんなに切り出したのだ。
そこで返ってきたリアクションが戮のその一言だった、というワケである。
他は、誰も発言しない。
「マジかよ」という戮の短いコメントが、あまりにもみんなの気持ちを完璧に代弁してしまっていたからなのだろうか。
「いや、でも…、ガチで笑い事じゃないっスね」
ポチさんが、トレードマークというかもはや唯一のアイデンティティとも言える(笑)(笑)を封印して、そう呟いた。
「うん、こればっかりは…、ね。どういう病気なのかもわからないし、わかったところで私たちに治せる訳でもないし」
今度はつくねさんが、首を横に振りながらそうコメントを書き込んできた。
少し冷たい印象を受けるコメントだったけど、ここまでの沈黙を考えれば彼女の受けたショックが充分に窺い知れる。
そう。
結局のところ、そこなのだ。
サキさんのため、僕らには何ができる?
それを考え始めると己の無力さに押し潰されそうになって、つい、考えることを放棄してしまうのだった。
「とりあえずさ、一生懸命楽しく遊ぼうよ。サキちゃんもそれを望んでんじゃないかな、なんて思ってみたり」
そう言ってきたのはJKのぞみ。
なんだか、ここにきて初めて彼女のまともな発言を聞いた気がするな。
その発言をきっかけとして、じゃあ今度はサキさん連れてどこそこのマップに行こうとか、次のイベントこそみんなで頑張ろうとか、なんだか話が前向きな形で盛り上がりを見せ始める。
そんな時、その様子を少し遠巻きに見ていた僕の後ろから、突然、【ウィスパー】で僕だけに話しかけてきた人物がいた。
「仲間って、いいものですね」
コメントの主は、リデルさんだった。
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