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(……わ。ホンマに美味しい)
シャンパングラスに注がれた赤のスパークリングワインを口にした千波は、あまりの美味しさに目を輝かせた。
普段あまりワインは口にしないが、友美が絶賛するだけあってまろやかで飲みやすく、とても美味しかった。
クイッと一気にワインを煽った千波を、横に座っていた陸は心配そうに見つめた。
「大丈夫ですか?」
「え? どうしてですか?」
「これ、口当たりいいけど度数結構高いですよ。あまりハイペースで飲まないほうが」
「大丈夫ですよー。この年になったら自分のキャパぐらいわかってますから」
そう言って笑った千波は、もう既に顔も赤くテンションが高めだった。
「………なんかもう既に、酔ってるみたいに見えますけど」
「それはこのワインが美味しいし、雰囲気が楽しいからメートルが上がってるだけですよー」
(………メートル?)
聞き慣れない言葉に首を傾げていると、反対側に座っていた操がクイクイと陸の袖を引いた。
耳元で小声で囁く。
「お酒飲んで機嫌よくなること、メートルが上がるって言うの」
「………へぇ。関西弁?」
「違うけど。でも殆ど死語やね」
それを聞いた陸はなるほど、と妙に納得した。
おばあちゃん子の千波らしい。
とにもかくにも、楽しんでいるようなので何よりだ。
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