コピーとスパイ

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上山さんは愛想がいい。 私達は完成イメージを話し合ってから、パターン室を出た。 「次は生地よ。サンプルは全部自分でやらなきゃいけないから、上山さんが起こしてくれたパターンで自分で裁断するの」 次に向かったのは倉庫。 今度は生地選び。 実はこれが一番悩むところかもしれない。ひとくくりに赤と言っても、赤にも何種類もの色があるし、素材も違う。 これだと思ってサンプルに仕上げても、自分が想い描いていたものと出来が違うなんてのはよくある事だ。 坂井と別行動を取っていると、棚の上段に赤い棒反を見つけた。 「坂井!ここにも赤があるわよ!」 近くにあった脚立を広げ、それに昇って生地をチェックしていると、坂井の足音が近付いてきた。 「どれ?……って。 リカさん大丈夫?落ちない?」 「落ちたりしないわよ。 ちょっと押さえてて」
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