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「わかったら、静かにしてろ」
バタンとドアが閉まった。
「お兄ちゃんに怒られた……」
しおしおと大人しくベッドに転がると、風斗が上半身を起こして、わたしを上から見下ろした。
「何今さらそんなショック受けてんの?よく叶兄に注意されてんじゃん」
「そうだけど。いつもは、あんな風に怒ってる感じじゃないもん…」
注意されるっていっても、大概『めっ!』って軽くデコピンされるくらいのレベルであって…。
珍しく真面目に怒られると、なんか凹む。
ごめんなさい、お兄ちゃん。
「みなは兄貴達に過保護にされ過ぎ。俺なんか、しょっちゅう叶兄に怒鳴られるし、遥兄には無視されてるっての。
まさか、みな、あの人達のこと優しいとか思ってないよね?」
「え、優しいよ?風斗君みたいに意地悪しないし」
基本的にはね。
そう言うと、風斗が哀れむような視線を向けてきた。
「お目出たい女…。みなって、ほんっっとバカだよね」
なんだと?
「教えておいてあげるよ。うちの兄弟で一番優しいのは俺だから。よく覚えておいた方がいいよ」
「それ、自分で言ったら駄目なんじゃないの?」
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